ベルリンの風 "Das macht die Berliner Luft" (その1)
10月19日の朝、最寄の駅から成田への朝一番のリムジンバスに乗り込んだ。
前日、都民交響楽団との演奏会があったので帰宅が遅くなり、2時間ほど横になってからの出発だったのでまだまだ夢の中。目をこすりながら何とか成田へ。
チェックインも済ませいよいよ出発。
目的地はベルリン。今回は国境なき合唱団との壁崩壊20年の記念の年でのチャリティコンサート。合唱団も色々と寄付等の準備をされていたようだ。さて飛行機の中でバッタリお世話になっている指揮者の方とお会いして、経由地のフランクフルトで大好きな小麦(ヴァイツェン)ビールを一緒に飲み、ほろ酔い気分でベルリンへ。思ったより小さな空港。タクシーに乗り込みホテルに直行した。
天気は晴天。雲もほとんどなくホントに素晴らしい。緑の中を走って行くのだが、なんと気持が良いのだろう。これから良い事がありそう。ベルリンの街が輝いて見えた。
さてホテルに着いて出かけようかとも思ったが演奏会もオペラも休み。仕方なく夕食まで部屋で休むことにした。気がつくとベットで寝てしまっていた。時計は10時近くを指している。
またやってしまった。実は以前、ライプツィヒを訪れた初日もベットでウトウトした結果、マタイの演奏会をすっぽかしてしまったことがあった。初日は気をつけなくてはと思っていたのにまたやってしまった。
食事に出ようと窓から外を見たが、辺りのお店はもう閉まっていて真っ暗。途方にくれてしまった。ロビーに出ても誰もいないし、ほとんどあきらめかけていたその時
「横島先生ですか?」その声に安堵感が広がった。その後は合唱団の方と合流してベルリン料理のお店へ。地元料理を沢山いただきました。
翌日は朝から合唱団との最終練習。曲目はベートーヴェンの「第九」。午後からオーケストラが入ってきて合唱と初合わせがあった。
その後夕方までオーケストラとの練習。終わってホッとしていると一人のバイオリン奏者が近づいてきて、「私はあなたの2楽章が大好きだ」と言ってくれた。
その時10年前のウィーンを思い出した。ウィーン楽友協会ホールでの演奏会。その初日のオーケストラ練習で3楽章が終わった時にオーケストラから拍手をいただいた事があった。そのことはその後少し自信にもなった。今回も前回も同じ事を共通して思ったことがあった。
「音楽が通じた」
音楽を考える時にはいつも疑問を持ちながらやっている。これでいいのか?この曲はどうしたらよく響くのか?
今回もそんな疑問の答えが少し見つかった気がして、これからも頑張らなくてはという気持が沸いてきた。
翌日はホール練習だ。歴史あるホールでの体験を大切にしなくては。その夜は食事もそこそこにゆっくり身体を休める事にした。