指揮者 横島勝人の公式ウェブサイト
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「モーツァルトのレクイエム」考
ウィーンのクリスマス
ウィ―ンに住み始めて約4,5ヶ月目にクリスマスがやってきました。
日本にいた時は、ショウウインドの飾りつけや商店街のお祭り騒ぎから、クリスマスには結構華やかなイメージを持っていました。
音楽だって、お店の中だけでなくアーケードからも ジングル・ベルやもろびとこぞりてが流れてきていましたし。
ヨーロッパは本場だから、きっと華やかさは日本以上だろうって考えていました。
でも実際は全く逆でした。
静かでとても宗教的なお祭りでした。
もちろん、街やショウウインドウの飾りつけは半端ではなく、あっと息をのむほどきれいでしたが。
お祝いはクリスマスの4週間前から始まります。
ラートハウス(市庁舎)の広場や街のいたる所でクリスマス市が開かれ、家族連れや恋人達などがたくさん集まってくるのです。
私もよく市庁舎のマルクト(市場)へ出かけていきました。
そこへ行くといつも、買い物をするでもなくただ歩くだけなのですが、それだけでも結構楽しめました。 音楽や人ごみのやかましさがなく、静かで、売っている物はツリー(本物のもみの木ではじめはびっくりしました)やそこに付ける色とりどりの飾り、ロウソクなど。
他にはホットドックやふかし芋まであって、日本でいうお祭りの露店が集まっているような感じもありました。
そこでふかし芋を食べたり、あたたかいワイン(冬の名物)を飲んだりしていると、何ともいえない幸せな気持ちになるんです。
気温は結構低く、夜などは厚手のブーツをはいていても足から冷えてくるので大変でしたが。
1時間もすると全身が冷えてくるので、またワインを飲んで、また歩いて・・・・驚いたのは、24日のイブにオペラが休演していることでした。
それに街の人通りも信じられないほど少ないのです。
イブの夜はみんなそれぞれの家族で集まり、ささやかなお祝いをしていたのですね。
日本では恋人同士でというイメージですが、ウイーンでは恋人達もまずは家で家族と過ごすというのが常識のようです。
クリスマスは、みんながとても大切にしている特別な日なものなんだと住んでいるうちにわかるようになりました。
1年目のクリスマスはザルツブルグで過ごしました。
友人がおいでと言ってくれて何だか嬉しくなり、約3時間列車にゆられて遊びに行ったんです。
彼の家はザルツブルグの少し郊外にあり、ずいぶん雪が積もっていて正真正銘のホワイトクリスマスでした。素敵でした。
夏の音楽祭に訪れた時のザルツブルグはかなり人が多く、あまり好きになれずにいましたが、この時ばかりは住んでもいいかなと真剣に考えたほど。
それほど美しかったことを思い出します。
そしてこの時一番の思い出は、「きよしこの夜」ができた小さな教会に連れて行ってもらったことでした。
雪道をゆっくり走り、着いたところは村はずれの小さな教会。
その教会の中にこれまた小さなプレート(だったと思います)があってそこに書かれていたのが小さな楽譜「きよしこの夜」。
二長調でした。
こんなところでできた曲が全世界で歌われていると思うとちょっと感動的でした。
楽譜をのぞいて見ていたら、頑張ろうって思いました。
そして何か生きる力が沸いてくる感じがしました。
その時は日本から離れて数ヶ月しか経っておらず、いつまでウイーンにいるのかも決めていなかった時期だけに、
良いきっかけになったと思っています。
いいものは分かってもらえるんだって。自分も何かをつかもうって。
その後のクリスマスは、毎年、知り合いの家族を呼んだり、呼ばれたりと少しずつウイーンの生活に慣れていった気がします。
今思うとやっぱりウイーンのクリスマスは楽しかったですね。
そうだ!
今年は思い切ってウイーンで過ごそうって家族会議にかけてみたいと思います。
通るかな?
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