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列車移動

演奏会シーズン到来です。この時期はほぼ毎日リハーサルか本番があり、本番のあとにもリハーサルに出かけることもあります。ですからシーズン中は健康・体調管理が本当に大事になってきます。やはり本番はベストな状態でのぞみたいですし、それが指揮者の仕事の一つだと思っています。特に今年に入って健康面が気になりはじめたので、あいている時間を使ってスポーツジムに通うようになりました。

シーズン中は仕事がらほぼ毎日緊張している状態が続くので、一息つきたくなることが多くあります。残念ながら自宅では次の仕事の準備等でいつもバタバタとしていて、なかなか落ち着いて生活できていません。ですからもっぱら私のリラックスできる場所といえば移動中の電車の中なのです。最寄り駅から都内出かけるときなどは電車を使って30分程で新宿に着いてしまうのでそれほど車中でゆっくりできませんが、都内以外の街を訪れる時などはまとまった時間が持てています。

今は松本や富山・黒部、新潟の長岡にもご縁があってよく行くようになりました。これらはすべて特急か新幹線を利用していますが、松本~新宿は約3時間、東京~富山は約4時間と時間がかかります。長岡でも2時間弱は新幹線の中です。乗っているあいだに本を読んだりスコアを広げたり、疲れがたまっているときなどは寝て過ごしています。そして時々一杯の甘いコーヒーを飲みながら過ごすあの時間が、私は結構好きなのです。

よく車窓から何も考えずボーっと外を眺めていることもあります。目に映る日本の四季折々の風景はとても美しく、景色を見ているだけで心が癒されていくのがわかります。それから考えごともよくしています。たとえば音楽のイメージ作りだとか、講習会・音楽祭のこれからの企画等をじっくり「ああでもない・こうでもない」と考えています。

車内は静かなのでいつも有難いと思っています。気分がとても落ち着きますし、スコアを読んだりする時にも「静かなところ」でないとなかなか集中して読めないので、列車の中はスコアの勉強にはちょうどいいのです。今、街を歩くと色々なところから音が飛んできます。レストランや喫茶店に入ってもBGMがサービスとして流れています。ヨーロッパにいた頃はよくカフェでスコアを広げていました。(向こうのカフェはほとんど音楽を流していません。)でも日本にはそんなお店がとても少なく音楽がずっと流れているお店ばかり、スコアを広げることがほとんどなくなりました。ですから余計に列車の中の2~4時間は、私の貴重な集中できる時間となっています。

それに列車の中では電話もできるだけひかえて、パソコンも持ち歩いていないので何もできない環境の中、逆にいえば他のことに使える時間をたくさん持てているのです。

新幹線や特急にのる前に私は必ず決まって行くところがあります。それは本屋です。だいたい大きな駅には本屋があってジャンルも豊富にそろっています。私は出発時間の少し前に駅に着くようにしていますが、それは列車に乗り遅れると本当に大変なことになってしまうということも大きな理由の一つですが、本屋に行きたいからということもあり、少し時間の余裕を持って駅に向かっています。本屋では1、2冊好きな本を探して列車に乗り込みます。ただ気に入った本がなければあきらめて買いません。見つかればラッキー、気分よく列車の旅がスタートできます。選ぶ本の種類は様々ですが、決め手はあまり重くない本です。雑誌・週刊誌は買ったことがないのでよくわからないのですが、できるだけ軽い本を探しています。なぜ軽いものかというと移動では連泊もあるので荷物は大抵いつも重くなります。ですから、「かさばりにくく」「軽い本」を探すことにしています。

数年前までは東海道新幹線には食堂車がついていて、新幹線に乗るとすぐに食堂車に行って食事を楽しみながら過ごす時間が好きでした。今使っている特急や新幹線には食堂車はついていないので、以前のような気分を味わうことができなくなったのは残念です。

寝ることも移動中では楽しみの一つです。寝ることが基本的に好きなので、疲れている時はけっこう長く寝ています。本番や練習が増えるとお酒を頂く機会も多くなり、寝不足の日も自然と増えてくるのでこの2~4時間の睡眠は非常に助かるのです。そして移動のあとはほぼ毎回リハーサルが入っているので、この睡眠のおかげで現場では元気一杯音楽に集中できています。

私にとって移動時間を有効に使うことは、仕事に影響がでてくるほど大事なことのです。

目的地に着くとそこにはオーケストラや合唱団との出会いがあり、それはそれで楽しみなのですが、そこに到着する前の列車での過ごす楽しい時間は私にとって「とても大切な時間」となっています。

これからも色々な所で演奏していきたいですし、たぶん列車の移動もますます増えてくると思うので、いかにストレスをためずにリラックスして過ごせるか、それが私の音楽を少しずつ変えてくれると思っています。

指揮者 横島勝人の公式ウェブサイト

Conductor Katsuto Yokoshima Official Website 

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